壁魚雑記

漢籍や東洋史関係の論著を読んで気づいたこと、考えたことの覚書きです。ときどき珍スポ。

0パーセントの晴れ男

 先日『天気の子』を見てきたので、唐代の天気の子っぽい話を紹介する。

 

『朝野僉載』巻5

 景雲中、西京霖雨六十餘日。有一胡僧名寶嚴、自云有術法、能止雨。設壇場、誦經咒。其時禁屠宰、寶嚴用羊二十口・馬兩匹以祭。祈請經五十餘日、其雨更盛。於是斬逐胡僧、其雨遂止。

 景雲年間(710~711)、長安では長雨が60日以上も続いていた。ひとりの胡僧、名を宝厳というものがおり、雨を止ませる法術を心得ていると宣うので、壇場を設け、経文を唱えさせた。このとき殺生を禁じ、宝厳は羊20匹、馬2頭をそなえて祭った。祈ること50余日を過ぎたが、雨はさらに激しくなっていった。ここに及んで胡僧を斬り、雨はようやく止んだ。

 

 宝厳、全然ダメじゃん…。

 でも自分が犠牲になることで天気を回復させているので、結果的には天気の子における巫女と同じ役割を果たしているともいえる。いえない?