壁魚雑記

漢籍や東洋史関係の論著を読んで気づいたこと、考えたことの覚書きです。ときどき珍スポ。

大東怪食記

 大阪は大東市に珍しい動物が食べられる居酒屋があると聞いて伺った。

 店の名は宝雪酒坊。ウーパールーパーが食べられる居酒屋として珍スポ界に名を馳せる(局地的)有名店である。

  ウーパーは入荷していないときもあるらしいので、事前に電話で確認をとっていたせいか、店に入って席につくなり「ウーパールーパーにします?」と笑顔のおねえさんに訊かれる。さすがに心の準備ができていないので、最初は軽くジャブからということで、無難なメニューでスタートを切った。

「いえ、それは後で…。じゃあまず、どてやきと、ダチョウの刺身お願いします」

 そう、 この店には一般的な居酒屋メニューの他に挑戦メニューなるものが存在するのだ。

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 ※メニューの写真は撮り忘れたのでネット上の拾い画になります。

 このうちワニ、トド、カンガルー、シカ、カエル、トド、馬は食べたことがあるので未知の食材であるダチョウを注文。ラクダも食べたかったが、この日は入荷していなかった。後で常連さんと「どんな動物の肉を食べたことがあるか」という話をしていて気付いたが、自分がいままで食べてきたシカはエゾシカなので、この店のシカとは品種が違うのかもしれない。注文しておけばよかった。

 

 さて、ダチョウの刺身である。

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 冷凍ものらしく貼り付いている生肉を箸ではがして口に運ぶ。クセはないので食べやすいが、冷凍のためか若干水っぽく、旨みもあまり感じられなかった。本場(どこだよ)で食べればもっと美味いのかもしれない。

 ちなみにどてやきはクリーミーで、このとき食べた料理のなかで一番美味かった。

 

 続いて今回のお目当てウーパールーパーとグソクムシを注文。料理方法は唐揚げだ。グソクムシはなぜか上掲の挑戦メニューではなく通常メニューに載っていたが、おそらくここでは日常的にグソクムシを食べているのだろう。

「ウーパールーパーとグソクムシは一緒に揚げるけど、揚げる前の写真撮らせてあげるよ」とおねえさん。

 是非にとお願いしたら出てきたのがこちら。f:id:ano_hacienda:20180108121324j:image

 ……自分で注文しといてなんだけど、いまからこれ食べるの?

 

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 もう慣れてるのだろう、客がインスタ映え写真を撮れるようにグソクムシを持ち上げていろんな角度から見せてくれるおねえさん。

 

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  あ、腹はちょっと、見たくなかったかも…。

 

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 ご尊顔。

 「サングラスかけてイケメンやろ」との仰せだが、これはもうあれだ、完全にプレデター

 そしてカラッと揚がったのがこちら。f:id:ano_hacienda:20180108121622j:image

 「頭からいきな」というので意を決してかぶりつく。バリバリと甲殻を噛み破るが、味は完全にえびせん。エビやカニのようなプリッとした身肉は感じられなかったが、味噌のようなクリーミーな食感はあった。味噌らしいクセを感じられなかったので身肉だろうか。量が少ないうえに、僕もこの時点で酔っていたのでわからず仕舞いだった。

 

 そしてウーパーさんはこちら。

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  こちらも頭からバリバリ食べる。骨の主張が強いが、身肉は白身魚に近くて淡白。内臓の食感はわからなかったけど、やはり抜いているのかな。

 ちなみにグソクムシもウーパーもスパイスの効いた唐揚げに仕上がっていて、味付け自体はけっこう好みだったので、鶏の唐揚げは普通に美味いのだろう(じゃあそっち頼めよ)。

 

 隣の席に座っていた常連さんが僕の注文したウーパーとグソクムシの写真を撮っていたので、「やっぱりこういうのたまにしか出ないんですか?」と店のおねえさんに訊くと、「いや、毎日出るよ」とのこと。毎日出るんだ…。

 昔からのなじみの業者が優先的に挑戦メニューにあるような動物の肉を流してくれるらしく、「関西でウーパールーパーを食べられるのはうちだけ」と誇らしげなおねえさん。そもそもウーパールーパーを食肉として流通させている業者って何なんですかねえ…。

 そして挑戦メニューだけでなく、店の常連さんたちもキャラが濃くて面白いうえに、店のおねえさんたちも含めて皆さん異様にカラオケが上手い。常連さんだらけでいちげんが入りづらい飲食店は本来苦手なのだけど、ここはついつい長居してしまった。関西珍スポ界の有名店は、大衆的な雰囲気のわりには居酒屋としてのコスパは低い(ビールが600円くらい)が、居心地の良い優良店だった。