壁魚雑記

漢籍や東洋史関係の論著を読んで気づいたこと、考えたことの覚書きです。ときどき珍スポ。

2016-01-01から1年間の記事一覧

唐五代のラクダ部隊とソグド系武人

高校時代、中国へ旅行に行ったとき、万里の長城で観光客向けの記念撮影用のラクダを見かけて度肝を抜かれた憶えがある。動物園のような柵のなかではなく、飼い主と思しき人間の傍らにしれっとたたずんでいたこともさりながら、当時の僕は、ラクダという生き…

中国史におけるブタトイレの風景

漢代を中心に、地方の豪族の墓などから当時のブタ小屋の明器が出土することがある。「猪圏」と呼ばれる柵に囲まれたブタ小屋である。 これら「猪圏」の明器には、柵に囲まれたブタ小屋の上階にトイレとなる小屋がついていることが多い。上階のトイレから垂ら…

石君立、ソグド人やめるってよ

ツイッターで呟いていた石君立ネタのまとめ。 中華書局の「点校本二十四史修訂本」シリーズの『新・旧五代史』が届いたのでパラパラめくっていたのだが、文献史料以外に墓誌も活用してテキストを修訂していて、なかなか面白い。 そのなかでも目に付いたのが…

カミナリ兄さん

久々に『北夢瑣言』を読んでいたら厨二心をくすぐる法籙の話が出てきたので、以下に記す。 『北夢瑣言逸文』巻第四「雷公籙」 巴蜀間、於高山頂或潔地、建天公壇、祈水旱。葢開元中上帝所降儀法、以示人也。其壇或羊牛所犯、及預齋者飲酒食肉、多為震死。新…

節分らしい話

陳舜臣は「鬼を驚かせ」というエッセイで遼代の正月の習俗「驚鬼居」に触れている。 鬼の住居を驚かす、というのだから、魔除けの行事にちがいない。記事によれば、モチゴメの飯と白羊の髄で拳大の団子をつくり、夜にそれを家から外にむかって投げたという。…

越後製菓は不正解

西晋の武帝が人の乳で育てた豚肉を食べた話は有名だが、貴族の生活が奢侈に流れた晋代では贅沢三昧のエピソードに事欠かない。 西晋の丞相となった何曾も食にこだわりが強かったようで、衣食住の豪奢は「王者を過ぐる」といわれ、一日の食費に一万銭を費やし…