壁魚雑記

漢籍や東洋史関係の論著を読んで気づいたこと、考えたことの覚書きです。ときどき珍スポ。

2020-01-01から1年間の記事一覧

顔真卿と飲中八仙

顔真卿が書いた墓誌が出土したそうで、例によってツイッター上でちょっとした話題になっている。 https://min.news/hot/7c11c3c57af2a3bad203ef9b3b67131b.html 釈文が公表されてないので深入りはできないが、墓主は羅婉順という鮮卑系の婦人で、夫の元大謙…

昭和レトロだけでは片付けられないレトロ喫茶「ランプ城」

室蘭の街外れに「ランプ城」というレトロな喫茶店がある。 珍スポ界隈ではそれなりに名の通った店らしく、僕はレトロ喫茶も好きなので、前々から気になっていたのだ。函館への小旅行の帰路、室蘭に寄って、件のランプ城を捜してみた。 Google マップに案内さ…

日本最北の関帝廟があると聞いて

行ってきました、函館中華会館に。 といっても、現在、一般公開はしていないので、中の関帝廟には参拝できない。 それでも西暦1910年ということは、清朝の宣統2年に建てられたわけで、日本で唯一の清代建築らしい。 幕末から開港した函館には俵物や昆布の取…

博浪沙のはなし

黄河の流域には沙地や沙丘が形成されることが多いという。 黄河が運ぶ土砂は、氾濫のたびに沖積平原に堆積されていき、乾燥した土砂に強風が吹きつけると、細かい粒子だけが吹き上げられ、沙地や沙丘が形成される。この沙地について、大川裕子氏は、古代中国…

トゥルギッシュのなかのソグド人

西突厥の一派であるテュルク系遊牧民のトゥルギッシュ(突騎施)は、烏質勒が君長となったときに、その主君であった西突厥可汗の阿史那斛瑟羅の部衆を併呑し、西突厥の覇権を握るほどに勢力を伸張した。神龍2年(706)、その子の娑葛は父の後を襲って唐の羈…

靺鞨のなかのソグド人

『冊府元亀』外臣部の以下の記事が、文献上に見えるソグド人が他民族へ進出した最北端の事例ではないかと思ったので、メモを残しておく。 『冊府元亀』巻975 外臣部 褒異二 開元十五年条 二月辛亥、鐡利靺鞨米象來朝、授郎將、放還蕃。 二月辛亥の日、鉄利靺…

鳳凰がくる

今年の大河ドラマ『麒麟がくる』がスタートした。タイトルはもちろん孔子の「獲麟」の故事に基づいているのだろう。太平の世に出現する瑞獣・麒麟。しかし戦乱絶え間ない時代に、孔子は本来あらわれるはずのない麒麟の亡骸を見つけてしまい、慨嘆する。世を…