大阪関帝廟巡り
関帝廟といえば、日本では中華街のある横浜と神戸が有名だが、中国人こそ多いが中華街があるわけでもない大阪にも存在するらしい。しかも2ヶ所も。
そんな情報を得た僕は、初詣もまだ済ませていないことだしと、2ヶ所の関帝廟を訪れることにした。
残念ながら、うかがったのが日曜日だったからか、普段は一般公開していないのか、中には入れなかった。しかし住宅街にオレンジ色の塀を巡らせた中国風寺院が忽然と現れるさまはインパクトが強い。
参詣できなかったのは残念だが、関帝廟のブログがあるようで、けっこう頻繁に更新されている(僕のブログより更新頻度が高い)。
ネットにも強いサイバー関帝。そのうちツイッターとか始めそう。
2軒目は日本橋のチャイナモール上海新天地という中国人向けデパート内部にあるらしい。
この上海新天地、1階から3階まではラオックスの免税店が入っており、電化製品や服を買いに来る中国人観光客でにぎわっている。客も店員もほぼ中国人のようで、このときいた日本人は僕だけだったんじゃないか。
4階には中華レストラン、6階には中国の食品や雑貨、本などを取り扱う総合スーパーが入っており、どちらかといえば地元に住む中国人向けのようだったが、ここが面白かった。
様々な輸入物の冷凍精肉のなかに、前日に食べた犬肉もあった。
けっこうなお値段。前回の記事で、前近代中国では羊より低級な食肉だったのではと推測したけど、ポピュラーな肉ではないせいか、こちらの方が高いくらいだ。
そのほか、豚の耳やら皮やら沖縄の市場でも見たような部位がごろごろしていたが、個人的にはじめて見たのがこちら。
豚のしっぽ。 どうやって食べるんだと思っていたが、クックパッドに「豚テール」のレシピが載っていた。
テールスープが多いらしい。ありがとうクックパッド。
そのほか酸梅湯や冰糖雪梨などのジュース、油条などの点心や総菜、香辛料なども売られており目移りしてしまう。
酒類コーナーには三国志の紹興酒が並んでいた。魏は陳3年、呉は陳5年、なぜか蜀はなし。それぞれパッケージに曹操と孫権が描かれている。やはりこと紹興酒に関しては呉の方が扱いが良いようだ。
これ、逆に並んでいるけど(黄色い方が陳5年の呉、赤が陳3年の魏)、細かいことは気にしない大陸的おおらかさが感じられる。
両方とも買ってきて、家で飲み比べるが、魏は「攻撃的な吞み口が、全てを支配する」という惹句のとおり香りが強くて角の立った味わい。
呉の惹句は「睡大虎を呼び醒ます、洗練された吞み口」。僕のなかの中学2年生も呼び醒ますカッコいい惹句だ。味も香りもまろやかで飲みやすく、個人的には魏より呉の方が好き。
さて、肝心の関帝廟である。
ラオックスに入ってすぐの階段を昇っていくと、中二階にまるで従業員入り口のように忽然と関帝廟が現れる。
開けたらラオックスの従業員が制服に着替えてそうな雑さ。
しかし「関帝廟の由来」に「中国本土の職人が手彫りで丁寧に作り上げたもの」とあるので、なかでは関帝が大事に祀られているのだろう。ありがたく参拝しようではないか。
では、お邪魔しま~す。
関羽近っ!
というか、内部がやたらと狭い。参拝スペースは2畳もないくらいの狭さで、もしかしてここ、以前は倉庫か何か?
いや、でもこんなに間近で関帝を拝めるなんて、なかなかないことだよ? 狭いライブハウスの方がアーティストとの距離が近くて臨場感もあって盛り上がる、あれと一緒じゃない?と自分に言い聞かせながら賽銭を入れ、香をたてる。お供え物は6階で買った冰糖雪梨。お供え物は持ち帰れと注意書きがあるが、皆さん置きっぱなしだ(僕は持ち帰りました)。
いざ参拝。
うーん、ご利益があるのかないのかわからないが、かくして僕の2018年の初詣は、必要最小限のスペースで祀り、お供え物も各自持ち帰らせることで処分の手間を省くという、中国的合理主義を具現化したような省エネ関帝廟となったのであった。